アルバート・アイラーに魅せられた弁護士にしてエスペラント語の権威、バーナード・ストールマンが64年に設立したESPレーベル。アイラーをはじめサン・ラー、オーネット・コールマンなどESPがリリースしたフリー・ジャズ重要作は枚挙に暇がない。が、ストールマンの旺盛な好奇心は同時代のアンダーグラウンド・ロック/フォークへも向かっていた。ESPのダークサイドを代表するカナダ人女性シンガー唯一の作品がこれだ。ティム・バックリーの女性版のような劇的なヴォーカリゼイションを支えるジャジーなバッキングもESPらしく先鋭そのもの。包み隠さず女性性を露にしたショッキングな内容は昨今流行の無害な“アシッド・フォーク”とは圧倒的に隔たっている。
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