70年代中期に、鬼才近田春夫が率いたハルヲフォンは、彼の強烈なキャラクターの影響か時に際物扱いされ、既発の3枚のアルバムも、ポップでありながらジャンル分けからはみ出てしまうその唯一無比の音楽性に、正当な評価が与えられてきたとは言いがたい。だが彼らにとって初となるこのライヴ・アルバムからは、強力なロック・バンドとしてのその実力、ライヴ・パフォーマーとしての魅力が、有無を言わせぬ圧倒的な迫力で伝わってくる。全編をつらぬくタイトなコーラス・ワーク、疾走するビートとともに、高度な演奏技術に裏付けられて緻密かつ屈折した近田ワールドがライヴで展開される様は、実にスリリング。臨場感溢れる録音もGOOD。四人囃子、キャロル、ミカ・バンドなど、当時のこの国のロックの代表曲9曲を強引かつ華麗につなげてしまった「日本のロック・メドレー」をはじめ、メドレー化されているカヴァー曲も数えると全部で37曲となる、息もつかせぬ72分。なおドラム&ヴォーカルの恒田義見は、あの村八分の初代ドラマーである。
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