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『THEN I TRY SOME MORE』 / JOANNA STERNBERG

JACKET: HYCA-3094
WEBSITE
  • 2019.12.11
  • HYCA-3094
  • ¥2,420 [with tax]

 ブライト・アイズのコナー・オバーストが現在開催中のUSツアーのオープニング・アクトに起用したことでも話題を集めている彼女だが、そのコナーのレーベルである《Team Love》からリリースされたこの作品は、天然であることを美徳とするような解釈から、内省とフォルムを個別に解放させてくれるようなアルバムだ。24歳で一人様々な楽器を使って人前で歌い始めたという彼女は、今に至るまで、音楽とアートをどちらかにウェイトを置くわけでも、相互作用を試みるわけでもなくマイペースに活動してきた。彼女のHPではイラスト作品も多く公開されている。そんなジョアンナの歌は実にシンプルだ。ほんの少しのアコースティック・ギター、ピアノ、そして本人の歌、基本はそれだけ。そして無理のないメロディの譜割と音節にのった言葉。それはまさしく内省的ではなく内省、情緒的ではなく情緒そのもので、ハリー・スミスが編纂監修し、スミソニアン・フォークウェイズから1997年に6枚組でCD化された『Anthology of American Folk Music』に代表される、何者の持ち物でもないただ誰かが日常の中でハミングして完成された歌でしかないことの尊さを思い出させてくれる。架空のペンギンの目線から歌詞が綴られた「Pimba」などはまるで日本の唱歌「浜辺の歌」や「椰子の実」のよう。世界規模でフォークロア音楽の根っこが一つである仮説を唱えたくなるようなとてもおおらかな音楽家であることに気づかせてくれる重要な曲だ。メロディや形式のみならず、テンポもまたフォルムをつかさどる要素であるとするなら、この人のタイム感は確かに形式をハミでたものになるのかもしれない。だが、だからといってこの人にしかわからない時間軸というような間の抜けた表現で片付けるべきでもなく、絶対音感やリズム感とは一体そもそもなんなのか。

TRACKS

1.This Is Not Who I Want To Be / 2.Step Away / 3.My Angel / 4.For You / 5.Pimba / 6.Nothing Makes My Heart Sing / 7.Trying to Say No / 8.You Have Something Special / 9.Don't You Ever / 10.It Happens To Be A Boy-Girl * / 11.Lullaby To Myself * / 12.*日本盤のものボーナストラック