マウンテン・マンはヴァーモント州でアレクサンドラ、アメリアを中心とする“声を生かした”3人組ヴォーカル・ユニット。アカペラをメインに、時にはアコギの伴奏も加えるというスタイルが本国で静かな人気を呼んでいる。そうした経緯もあり、アレクサンドラとアメリアは15年以上一緒にヨーデルを歌ってきた。そんな二人が、ジャンルや年代を超えた10曲の大好きな曲をとりあげることをコンセプトにこのユニット=ジ・エーズを結成させた。ここに届いたファースト・アルバムは伝統曲、子守唄、オリジナル曲で構成されている。ジ・エーズは2013年、アレクサンドラが当時アメリアの住んでいたノースカロライナ州に引っ越してから初めて一緒にライヴを行った。その後、しばらくは積極的に活動していなかったが2021年夏に本作であるファースト・アルバム『Fruit』の制作に着手。シルヴァン・エッソのチャペルヒルのスタジオに入ってレコーディングを開始した。二人の愛らしいハーモニー/コーラスに気持ちがそっと穏やかになる、そんな10曲が並ぶが、他に使われている“音”も、ナイロン・ショーツ、ストリングス(単数)、髪の毛、靴、氷の塊、砂利、カエルのサンプル、靴ひもなど、思いがけない即席の楽器がクレジットされている。 また、「Copper Kettle」では日本のアーティストからも信頼の厚いLA拠点のサム・ゲンデルがサックスを、本作唯一のオリジナル曲「When I Die」ではジェン・ワズナー(フロック・オブ・ダイムス、ワイ・オーク)がバック・ボーカルを、「He Needs Me」ではガブリエル・カハネがストリングスのアレンジを担当している。プロデューサーはシルヴァン・エッソでのアメリアの相棒でもあるニック・サンボーン。USインディーのルーツを掘り下げていきながら、美しいハーモニーの心地よさにぜひ酔いしれてほしい。
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