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『Watching Us With Archaic Smile 』 / Peatmos

JACKET: HYCA-8069
  • 2024.03.13
  • HYCA-8069
  • ¥2,530 [with tax]

Clover Recordsの創設者のサイトウマサトを中心に結成されたpeatmosのベスト盤が25年の時を経てリリース。Young Marble Giants のStuart MoxhamがプロデュースしたLoisの1stアルバムButterfly Kissに触発されたサイトウがKactusのメンバーであるスギノコウタ ロウとミツヤマジュリアをサポートメンバーとして結成。その後クルスマナミがVocal、ナカタチカコがPercussionとして参加し音楽性が 固まった1996~1998年の音源が本作である。本作には1997年に名盤Pop Jingu Vol.1をリリースするUS Sonorama Recordsからの Earl Gray Tea e.p.と Clover Recordsからリリースされたカセットテープmess e.p.を中心に、コンピレーションアルバムに提供した 曲と未発表曲を収録。さらに、1997年1月26日に下北沢屋根裏での貴重なライブ音源も収録している。前述Pop Jingu Vol.1は peatmosの他、Lucy Van Pelt (現Advantage Lucy)、Kactus、Smiley、Red Go-Cartと800 cherriesも参加。このコンピレーションで peatmosの存在を知った往年のファンも多いはず。peatmosが活動した1996年の日本と言えば渋谷系は過去のものとなり、Mr. Childrenの名もなき詩が1週間で120万枚を売り上げた年だが、それとは全く関係ない流れで世界中のIndie Popが渋谷 宇田川町や 西新宿のレコード屋に日々集結していた。前年の1995年にイギリスではSarah RecordsがThere And Back Again Laneで終焉を迎え、 1996年にはアメリカでShelflife Records、Drive-In Records、Kindercore Recordsが同年に設立。老舗であるK RecordsやSpinART Recordsと共にUS Indie Popが盛り上がりを見せていた。Youtubeがなかったあの頃、1997年にSeason RecordsからMunch (Part Two)がリリースされ現在進行形のIndie PopをVHSのテープが擦り切れるまで見た人も少数ながら、確実に全世界にいた。Shelflifeの Whirl Wheelsをはじめ各レーベルがリリースしたコンピレーションアルバムに収録されてもおかしくない同時代性がpeatmosにはあ った。Daniel Johnstonの様なシンプルでいて耳に残る力強いメロディー、アコースティックギターを基調とした必要最低限の音数なが ら凝縮された1,2分台の多い。
Messやpicnicの様なアップテンポな軽快な曲から、牧歌的だが、mad cow diseaseは当時社会 を震撼させていた狂牛病がテーマ。後半のライブ音源を聴くとわかるが、全体として非常にバランスの良い演奏をしている。クルスマナ ミの歌が持つ冷たくも熱くもないちょうど良い温度感。その中に、何者にも迎合しない確固とした自分達のやりたい方向性を形する強 い意志を感じる。Velvet Underground~Galaxie 500、Ride The Tiger期のYo La Tengo、Sarah Recordsのアーティストたちのシンプル だが刺さる曲を彷彿させ、前述のLoisと同じくK RecordsのMelody DogやThe Crabsの持つよい意味での心を鷲掴みにするLo-Fiさ、最 近だとBig ThiefのAdrianne Lenkerのソロ、Florist、April Magazine、Cindy、The Reds, Pinks & Purples, misophoneなどのアーティスト や、Double Double Whammy、Run For CoverのレーベルからリリースされているSSWの様な空気感を持つ。peatmosはその後、バン ド名とメンバーを変えpervencheに発展。ネオ(コ)・サイケデリックで時に実験的な振り幅を持ち合わせながら活動中。2022年に20年ぶりのアルバムquite small happinessをリリースし、本作収録のOut of The RoomやBlue Paintingは進化しながら現在に歌い継が れている。聴いている人の絶対数は少なかったとしても、その時代に存在して誰かの心に残る音楽がある。本作は確実にあの時代の音 であり、タイムカプセルが2024年に再び開けられ日の目を見ることを心から喜びたい。

TRACKS

1.earl grey tea / 2.many suns / 3.to my little friends / 4.mad cow disease / 5.mess / 6.picnic / 7.d'yer wanna dance with kids / 8.out of the room / 9.blue painting / 10.play the wind / 11.mess(live) / 12.to my little frielnds(live) / 13.picnic(live) / 14.mad cow disease(live) / 15.snufkin(live) / 16.many suns(live) / 17.blue painting(live) / 18.out of the room(live) / 19.d'yer wanna dance with kids(live) / 20.earl grey tea(live)