Peatmos |
『Watching Us With Archaic Smile 』 / Peatmospeatmosのベスト盤が25年の時を経てリリース。聴いている人の絶対数は少なかったとしても、その時代に存在して誰かの心に残る音楽がある。本作は確実にあの時代の音 であり、タイムカプセルが2024年に再び開けられ日の目を見 た!Clover Recordsの創設者のサイトウマサトを中心に結成されたpeatmosのベスト盤が25年の時を経てリリース。Young Marble Giants のStuart MoxhamがプロデュースしたLoisの1stアルバムButterfly Kissに触発されたサイトウがKactusのメンバーであるスギノコウタ ロウとミツヤマジュリアをサポートメンバーとして結成。その後クルスマナミがVocal、ナカタチカコがPercussionとして参加し音楽性が 固まった1996~1998年の音源が本作である。本作には1997年に名盤Pop Jingu Vol.1をリリースするUS Sonorama Recordsからの Earl Gray Tea e.p.と Clover Recordsからリリースされたカセットテープmess e.p.を中心に、コンピレーションアルバムに提供した 曲と未発表曲を収録。さらに、1997年1月26日に下北沢屋根裏での貴重なライブ音源も収録している。前述Pop Jingu Vol.1は peatmosの他、Lucy Van Pelt (現Advantage Lucy)、Kactus、Smiley、Red Go-Cartと800 cherriesも参加。このコンピレーションで peatmosの存在を知った往年のファンも多いはず。peatmosが活動した1996年の日本と言えば渋谷系は過去のものとなり、Mr. Childrenの名もなき詩が1週間で120万枚を売り上げた年だが、それとは全く関係ない流れで世界中のIndie Popが渋谷 宇田川町や 西新宿のレコード屋に日々集結していた。前年の1995年にイギリスではSarah RecordsがThere And Back Again Laneで終焉を迎え、 1996年にはアメリカでShelflife Records、Drive-In Records、Kindercore Recordsが同年に設立。老舗であるK RecordsやSpinART Recordsと共にUS Indie Popが盛り上がりを見せていた。Youtubeがなかったあの頃、1997年にSeason RecordsからMunch (Part Two)がリリースされ現在進行形のIndie PopをVHSのテープが擦り切れるまで見た人も少数ながら、確実に全世界にいた。Shelflifeの Whirl Wheelsをはじめ各レーベルがリリースしたコンピレーションアルバムに収録されてもおかしくない同時代性がpeatmosにはあ った。Daniel Johnstonの様なシンプルでいて耳に残る力強いメロディー、アコースティックギターを基調とした必要最低限の音数なが ら凝縮された1,2分台の多い。 |
『Watching Us With Archaic Smile 』Peatmos
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Ava Mirzadegan |
『Dark Dark Blue』 / Ava Mirzadeganメガネと大きな瞳はひそやかな主張 新時代のジュリー・ドワロン、アメリカの柴田聡子(?) 歌と本が武器たるフォーク・シンガー、 アヴァ・ミルザデガン、ひそやかにデビュー深い蒼色のジャケットを見て、誰もが思い出すだろう、ジョニ・ミッチェルの名作『ブルー』。ただ、本作はより暗いダーク・ダーク・ブルー。この中から浮かんでくるのは、夜 明けなのか日没後なのか......暗がりの建物の中に一つだけ明かりが灯る窓......このアルバムはまさにその部屋の中から聴こえてくるかのようだ。この窓の向こうに は、きっとメガネをかけた、少しボサボサ頭の目の大きな女の子がいて、椅子に座ってアコースティック・ギターをボロン、ボロンと鳴らし、机の上の古い本に時折目を 落としながら、ギターの音に言葉を乗せて歌っているに違いない......。これが正式なデビュー・アルバムになるアヴァ・ミルザデガン。フィラデルフィアを拠点とするシン ガー・ソングライターだ。新世代の女性アーティストが次々と登場し活躍する近年、その中でもこのアヴァは指弾きのナイロン弦ギターに、そっと言葉とメロディを重ね、 自分自身に語りかけていくようなスタイルが実に奥ゆかしい。ヴォーカルはどこまでも呟くかのように静謐でストイックで......ジュリー・ドワロン、タラ・ジェイン・オニー ル、アイダ、イノセンス・ミッションあたりを思い出させる。あるいは、厳かでロマンティックで、大いに寂寞を讃えた、ニック・ドレイクやカレン・ダルトンといった大先輩た ちのことも。 |
『Dark Dark Blue』Ava Mirzadegan
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Adiós Amores |
『El Camino』 / Adiós Amores危険で甘美な香りを漂わせるスペインの新星ポップデュオ、Adiós Amores(アディオス・アモレス)。トルコと西洋の文化が混ざり合うアンダルシア地方特有のサイケデリックなサウンドにフランソワーズ・アルディ、 フランス・ギャルなどYe-Yeガールズたちへの憧れが入り混じったモダンミュージックが、この冬、強烈なノスタルジーとスリルを与えてくれる!スペイン南部アンダルシア地方出身のイマン・アマールとアナ・バジャダレスが結成したAdiós Amores(アディオス・アモレス)は、2020年結成のフレッシュなニューカマーであるにも関わらず、果実味豊かなフルボディの赤ワインを彷彿させるような味わい深いサウンドで、本国スペインでも注目を浴び、本作『El Camino』でついに日本デビューを飾る。 |
『El Camino』Adiós Amores
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秘密のミーニーズ |
『Our new town』 / 秘密のミーニーズ令和のはちみつぱい“秘密のミーニーズ” 2021年発売のミニアルバム「down in the valley」から約3年半ぶり 「It's No Secret」以来約6年ぶりとなる新作「Our new town」発売決定日本の西海岸(ウエストコースト)ロックを提唱する、一部では“令和のはちみつぱい”の異名を持つ、渡辺たもつ率いる秘密のミーニーズのオリジナルフルアルバムとしては3作目になる新作「Our new town」が完成。前作までメインボーカルだった菅野みち子の活動休止に替わり、オリジナルメンバーの淡路遼が6年ぶりに完全復帰、サポートに女性ボーカル・mayugenを加えての全面3声コーラスが復活。プロデュースに夏秋文尚(ムーンライダーズ/ジャック達)を迎え、ゲストミュージシャンとして松野寛広(key/ birch、夢見る港)の全面サポートを得て制作された3rdフルアルバム。重層的な3声コーラスを基本とした、これまでのCSN&Y、The Byrds等のアメリカ西海岸・'60sフォークロックの影響下のみに留まらずカントリー、ソウルミュージック、ブルースロックに加え、ピンク・フロイド等の英国プログレッシブ・ロックの要素も大きく取り込んだ、令和最新のサイケデリック・ミージックを堪能して欲しい。 |
『Our new town』秘密のミーニーズ
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PIPIORAS |
『ノ・アン・ウン・デ・ディオス』 / PIPIORAS恋に落ちたふたりの少女は。互いの才能、そしてポップミュージックに。ドリームポップ〜ハウス、テクノポップへと縦横無尽に変化するPIPIOLASの『No hay un dios』はまるで青春映画のワンシーンのよう。良質なテクノポップを生み出し続けてき スペインのインディーレーベル、Elefantが満を持してリリースしたガールズ・デュオ、PIPIOLAS(ピ ピオラス)。ミレニアル世代のポップアイコンとなったNewJeansが漂わせる90sなムード、スタイルと共鳴するようなPIPIOLASのレトロフューチャーなサウンドは、驚きと感 動に満ちていて、心を震わせる。 90年代に生まれたアドリアナ・ウバニ・アルバレスとパウラ・レイエス・モリージャスはアートスクールで出会い、失恋を経験したパウラは自分と似た感性と歌声をもつアドリアナに曲を書くことを提案すし、そこに手を差し伸べたVau Boyは、日本のテクノポップ、ゲームミュージックから影響を受けたミュージシャン、プロデューサーだ。 2022年のデビュー作「Narciso」、次に発表した「Club de los 27」はちょっぴり気まぐれで、とびきりロマンティックなナンバーで、壮大なエンディングへと駆け抜けていく爽快感がとても心地良い。デビュー2作品はありがたいことに日本盤ボーナストラックとして収録されている。 |
『ノ・アン・ウン・デ・ディオス』PIPIORAS
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